「中鎖脂肪酸」という脂肪酸の名前を聞いたことはあるだろうか?

中鎖脂肪酸は、最近「脂肪になりにくい脂」として注意されている油だ。
常温では固形であることが多いため、バターの代わりなど、便利に使えることも人気の一因だ。

今回は、そのような体に良くて便利な油、中鎖脂肪酸についてまとめてみた。

中鎖脂肪酸とは

中鎖脂肪酸ってどんな油?

中鎖脂肪酸とは、油の中では「飽和脂肪酸」という固形の油に分類されている。

飽和脂肪酸と聞くと、なんとなくバター、ラードなどの「太りやすい脂」のイメージがあるのではないだろうか?
しかし、中鎖脂肪酸は、「飽和脂肪酸なのに脂肪になりにくい油」として注目を浴びている。

中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の話

脂肪酸は短い方が脂肪にならない

脂肪酸の種類分けをする際の基準の一つとして、「脂肪酸の長さ」というものがある。

長鎖脂肪酸は、文字どおり脂肪酸が長い場合つけられる名前だ。
オリーブオイルやラードなど、ほとんどの油はこの長鎖脂肪酸であると言われている。

一方、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸のおよそ半分の長さ・サイズしかない脂肪酸のことを指す。
中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べて「エネルギーになる速度が段違いで速い」のが特長だ。

中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸の約5倍早くエネルギーとして使われる

ここで、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸がエネルギーになる経路を比べてみよう。

中鎖脂肪酸は、長さが短く、水になじみやすいため、小腸で門脈(消化器官から肝臓に栄養を送るための血管)に溶けてすぐ肝臓に運ばれる。
そしてその肝臓でそのままエネルギーに変換され、使われていく。
この時の速度は長鎖脂肪酸に比べるとおよそ5倍にもなる。

一方、長鎖脂肪酸は門脈に解けることはできないので、リンパ管や静脈で遠回りしながら、やっと肝臓に届く。
そして、長鎖脂肪酸はすぐに分解されるわけではなく、体の必要に応じて分解されていくのだ。

分解されない長鎖脂肪酸は、脂肪として体にストックされていってしまう

このように、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸では、エネルギーに変換されるまでの経路が異なることが、中鎖脂肪酸が脂肪になりづらいことの大きな理由だ。

中鎖脂肪酸の効果

脂肪になりづらいだけでも十分嬉しいが、中鎖脂肪酸には、以下のような効果もあると期待されている。

  • 血糖値の抑制
  • インスリンの抑制
  • 脂肪を燃えやすくする
  • 脳の活性化
  • 整腸効果

中鎖脂肪酸が体内で分解された時に発生する「ケトン体」という成分が、脳の活性化をもたらしてくれるとされている。
ケトン体が発生するのは中鎖脂肪酸を食べてからおよそ2、3時間後だ。

朝ごはんの時に食べるとメタボ改善以外にも、すっきりとした1日を迎えられるだろう。

中鎖脂肪酸は、消化する時に消化酵素を使わない。
そのため、胃腸への負担を少なくすることができると言われている。

しかし、食べ過ぎは禁物だ。
お腹がゆるくなってしまう人もいるため、様子を見ながら摂るようにするのだ。

中鎖脂肪酸が含まれる食品は?

最後に、中鎖脂肪酸が含まれている食品について簡単にまとめてみた。
ぜひ参考にしてみてほしい。

  • ココナッツオイル
  • 牛乳、山羊乳
  • サプリメント

中鎖脂肪酸が含まれている食材の中で最もポピュラーなのがココナッツオイルだ。
含有量も約60%と多く、効率の良い食品。

牛乳、山羊乳も中鎖脂肪酸を含んでいる。

天然の成分で中鎖脂肪酸を含むものはごくごくわずかだ。

どちらも食べるのに抵抗があるという人は、サプリメントという選択肢もあるだろう。
中鎖脂肪酸を効率良く摂る方法として、サプリメントはオススメだ。