メタボ・肥満の出発点は、人類が飢餓から逃れて存続するために、風土、歴史、宗教、政治、工業化、グローバル化といった、様々な流れの中で行き着いたもので、人類全体が抱える事となった、新しい現代病とも、言えそうです。
その実態、問題、経緯をシンプルにまとめてみました。

先進国は飽食、世界では約16億人が太り過ぎ

発展途上国は飢餓なのに、先進国は飽食、世界では約16億人が太り過ぎ、アメリカ合衆国(以下、アメリカ)では成人の30%に当たる6000万人が肥満とも。

WHOの調査によると、世界のメタボ・肥満の現象は、1980年~2008年の間に、約2倍!ヨーロッパでも、男女共に50%以上がメタボ・太りすぎで、女性の約23%、男性の約20%は肥満と報告されています。

太平洋地域の国々は、世界のメタボ・肥満のワースト10カ国のうち、8つも占めていて、15歳以上の住民の70%以上が肥満とされています。

幼年期の肥満は更に深刻

1990年~2008年にかけての調査では、思春期前までに太りすぎだった子供の60%は、成人期の早い時点で既に、太りすぎとなっています。
そして幼年期の肥満は、循環器疾患、2型糖尿病、整形外科的問題、心の病、学校での成績不振、自己の過小評価等のリスク要因と、深く関わっているといいます。

幸い、アメリカでは、ミシェル・オバマ(前大統領婦人)、イギリスでは、ジェイミー・オリヴァー(シェフ)など、「子供たちの健康な食育」に関して、警鐘を鳴らし、先導をとる人物や団体の存在(学会、経済、健康機関)があり、国をあげて対策がとられています。

一方、太平洋諸国や中東の国々には、そのような存在や機関がないためか、メタボ・肥満対策自体(まだ)とられていないというのが現状のようですね。

農業革命・人口革命・産業革命

1700年代、イギリスから広がった農業革新(農業革命)により、食料が行き届くようになったことで、人口が増加(人口革命)したと言われますね。
そこに、1760年代から1830年代まで、産業革命がおこった訳です。
(*アメリカの独立宣言は1776年、奴隷解放宣言は1862年です。)

欧米でも1800年代初頭までは、家庭で地産地消、時間をかけて作られた食文化であったという事とも合致しますね。

ちなみに、1870年、アメリカでも農業労働者は人口の50%もあり、今日では、なんと2%未満、そして日本は3.7%となっています。

このあたりにも、貧困、経済格差、自国文化の喪失といった、メタボ・肥満問題の絡まった糸を解くヒントが、ありそうですね。