中性脂肪の増加は日頃の食生活の乱れや運動不足等の何気ない怠りから進行していく。
それでは、中性脂肪高いと、実際には体にどのようなことが起きてしまうのだろうか。

大枠で考えると

  • 内臓脂肪が増えて肥満になる
  • 脂質異常症になる

の2点によって、様々な病気の原因となってしまう。

以下、中性脂肪値が高いとどうなってしまうのか、具体的に見ていきたい。
そんなことにならないよう、原因を克服することも大事だ。

中性脂肪値が高いと、内臓脂肪がどんどん増える

内臓脂肪型肥満には要注意!生活習慣病や動脈硬化につながる恐れ

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中性脂肪値が高くなると、体の様々なところに脂肪が溜まり、肥満になってしまう。

たまった脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」がある。
同じ肥満でもポッコリお腹になってしまう「内臓脂肪型肥満」と、洋なし体型になってしまう「皮下脂肪型肥満」がある。

男性に多いのが「内臓脂肪型肥満」、女性に多いのが「皮下脂肪型肥満」。

特に気をつけなければならないのが、内蔵脂肪が溜まる、内臓脂肪型肥満だ。
内臓脂肪が、動脈硬化や生活習慣病につながる恐れがあるからだ。

中性脂肪値が高いとメタボリックシンドロームに

また、内臓脂肪の増加はメタボリックシンドロームにもつながる。

メタボリックシンドロームとは

  1. おへそ部分の胴回りが男性で85cm、女性なら90cm以上ある
  2. 中性脂肪・コレステロール、血圧、血糖値のうち2つ以上が基準値をクリアしていない

を満たす時に診断される。

メタボリックシンドロームは、動脈硬化をはじめ、様々な病気にかかる危険性を持つ。
命に関わるものも多くあるので、たかがメタボと笑ってはいられないのだ。

脂質異常症

脂質異常症にも種類がある!特に高トリグリセライド血症に注意

中性脂肪値が高くなると、脂質異常症(高脂血症)と診断されることがある。
これは、脂質や糖分の摂りすぎによって、血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が多くなり、血液がドロドロになってしまった状態のことを指す。

中性脂肪の基準値は「150mg/dl」で、これを超えてしまうと脂質異常症と診断される。

脂質異常症には3種類あり、以下のようになっている。

基準値 症状
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値
→140mg/dl以上
高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール(善玉コレステロール)値
→40mg/dl未満
低HDLコレステロール血症
トリグリセリド(中性脂肪)値
→150mg/dl以上
高トリグリセリド血症

中性脂肪値が高い時に診断される「高トリグリセライド血症」は、症状として痛みがあったり、直接命に関わるようなことはない。

しかり、そのまま放置すると、日本人の三大死因である動脈硬化、脳血管疾患、心疾患の原因となってしまうため、油断は禁物だ。

高トリグリセライド血症による粥状動脈硬化は生死に関わる

動脈硬化はとっても危険

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中性脂肪値が高いことによる一番の危険は、動脈硬化にある。
動脈硬化とは、血管が硬くなることによってもろくなり、その結果血管が詰まったり、血管壁が破れて出血してしまうことだ。

粥状(じゅくじょう)動脈硬化に注意

特に、血中の中性脂肪やコレステロールが高いことから起きる動脈硬化を、「粥状(じゅくじょう)動脈硬化」と言う。
粥状動脈硬化は、酸化LDL(超悪玉コレステロール)や、分解した中性脂肪の余りであるレムナントによって発生する。

粥状動脈硬化は、心臓や脳といった体の大切な部分に発生しやすく、心筋梗塞や脳出血、脳卒中の危険性を高める。
また、高血圧症や糖尿病などとの合併症の危険性も高まってしまうため、非常にやっかいな病気だ。

併発するインスリン抵抗性にも注意!糖尿病の危険性が

併発するインスリン抵抗性

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中性脂肪値が高い高トリグリセリド血症は、インスリン抵抗性という症状も併発する。
インスリン抵抗性は、中性脂肪から分泌されるアディポサイトカインが異常発生してしまうことによって生じる。

アディポサイトカインは、インスリンの感受性に影響を与えるため、これが異常発生すると、インスリン自体の効き目が悪くなってしまうのだ。

糖尿病の危険性も高まる

インスリンはブドウ糖をエネルギーに変換する働きを持っている。
しかし、これの効き目が弱くなると、血糖値が下がりにくくなってしまう
結果として、糖尿病につながってしまうこともあるのだ。

HDL(善玉コレステロール)が減ってLDL(悪玉コレステロール)が増える

中性脂肪値が高くなり、内臓脂肪が溜まっていくと、HDL(善玉コレステロール)が減ってLDL(悪玉コレステロール)が増加するといった弊害も生じてくる。

LDLコレステロールが増えるということは、それが酸化して出来る酸化LDLも多く作られてしまう。
そのため、より一層動脈硬化の危険性が高くなってしまうのだ。

中性脂肪値が高い、高トリグリセライド血症の人は、超悪玉コレステロールが作られる

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LDLコレステロールが増えてくると、やがて酸化LDLという物質が出来る。

実は、高トリグリセライド血症の人に出来る酸化LDLは少し小さく出来てしまう。
一般的に、これを「超悪玉コレステロール」と呼ぶ。

超悪玉コレステロールは、通常の悪玉コレステロールよりも強力な作用があり、より粥状動脈硬化につながる危険性が高くなるのだ。